影の谷物語

■ドン・ロドリゲス

フルネームはロドリゲス・トリニダ・フェルナンデス・コンセプシオン・エンリケ・マリア。
本編の主人公。アルゲント・アレスの谷地の領主の息子。

騎士道精神に溢れた高潔な武人で、亡き父の遺言に従って戦と城を求め旅に出ます。
剣は戦いに、マンドリンはロマンスに、男らしく格好いいです。
モラーノさんとの絶妙な間柄と道中のやりとりが楽しいです。


■モラーノ

暗殺宿の下僕として使われてましたが、ロドリゲスさんと出会ったことにより彼の従僕に。

賤しい身分の出ですが機知に富んで機転が利き、道中でたびたびロドリゲスさんの危機を救います。
モラーノさんといえばやはり焼いたベーコン。このひとがフライパンで焼くベーコンはとても美味しそうに思えます。わたしも一度食べてみたい。


■セラフィーナ

ローライトの村の美しい乙女。本編のヒロイン。

騎士物語の典型的ヒロインで、ロドリゲスさんとのロマンスがよく似合います。
夕闇のバルコニー、そして夜にバルコニーの下に置かれた薔薇、ロマンチックでうっとりするなあ……。


■ドン・アルデロン

セラフィーナさんの兄。

ロドリゲスさんとの決闘で優勢を誇りますが、モラーノさんの不意打ちで何度もフライパンで頭を叩かれて失神してしまったかわいそうなひと。


■影の谷の王

ローライトの村の彼方にある、「影の谷」と呼ばれる広大な森のただひとりの王。

最初は正体を隠してロドリゲスさんと出会うことになる立派なひと。
終盤に正体を明かして、意気消沈のロドリゲスさんへ粋なプレゼントをしてくれます。
スペインの黄金時代。若き騎士ドン・ロドリゲスは、亡き父の遺言に従い、戦いを求めて冒険の旅にたつ。ただ一振りの剣を持ち、マンドリンを背負って。時は春、彼に従うはこの上なく忠義で愉快な下僕モラーノ。怪しい宿、奇妙な山、果てしない野…やがて彼らの旅は「影の谷」へと導かれてゆく……。壮大で華麗な世界を描いた幻想作家ダンセイニ卿の最初の長編小説。

 ――「影の谷物語」ちくま文庫版の裏表紙あらすじより


ドン・キホーテを意識した、若き騎士と従者の冒険物語。
意識しているといっても主人公は滑稽でもなく、ラストも清々しいハッピーエンド。
冒険あり決闘ありロマンスありの旅を伝記風に描いた作品です。

前半の途中、不思議な家に立ち寄ったとき、サラゴサで魔法の講演をしているという謎の教授に出会い、そこで摩訶不思議な体験をすることになるのですが、話の中では異色なシーンかも。
H・P・ラヴクラフトが「影の谷物語」を読んだことがあるかどうかは知りませんけど、もし読んでいたらこのシーンを一番気に入ったんじゃないかと思います。

登場人物

ストーリー

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※参考文献
「影の谷物語」(ちくま文庫)

ちくま文庫

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